フッ素の力 | 京都市左京区の歯医者 おおくぼ歯科クリニック | 予防歯科・歯周病・小児歯科・矯正・インプラント・審美/ホワイトニング

スタッフブログ

みなさんこんにちは。歯科医師の浅井です。

以前も上記タイトルでお伝えしたことがありましたが、今回は英語文献を抄読し一層深く学びましたのでお伝えしたいと思います。

まず、フッ素とは何者なのでしょうか。フッ素とは、自然界に存在する天然元素。地中や海水などに存在するため私たちが食する野菜や魚にも含まれています。フッ素は、歯に取り込まれることにより歯の構造を強固にし虫歯菌の攻撃から守ってくれます。主には①再石灰化の促進(初期虫歯を元の状態に戻りやすくする。虫歯の進行を止める。)②結晶の質改善(歯の構造をがっちりさせる)③抗酵素、抗菌作用(虫歯菌が作る歯を溶かす酸を少なくする)の働きがあります。

これらフッ素の虫歯予防効果に注目し、日本でもフッ素配合歯磨き剤のシェアは90%へ到達しました。その結果、5歳児の大人の歯に虫歯がある人の割合は、H5~H28の約25年間で3分の1以下になりました。(表1)そして、フッ素配合歯磨き剤の普及と共に日本人の虫歯は減少しました。(表2)20歳までの虫歯がグンと減ったことにフッ素の効果が伺えます。

表1 H28歯科疾患実態調査(厚生労働省HPより抜粋)

表2 フッ素配合歯磨き剤の普及と12歳児のう蝕 (ライオン歯科材株式会社より抜粋)

では、諸外国ではどうでしょうか。上記に示す日本における20歳以下の虫歯の減少傾向は、アメリカではすでに25年前に起こっていたのです。現在では諸外国と比較するとこれだけの差がついてしましました。

表3日本と予防先進国との虫歯の数の比較 (WHOデータバンクより抜粋)

そして、諸外国で同じく25年前に市場に出回り始めたのはフッ素濃度1500ppmの歯磨き粉です。日本で市販される歯磨き粉に含まれるフッ素の最高濃度は1000ppm(1ppm=1kg中に1mgのフッ素が含まれるということ)です。

今回読んだ文献にはこうあります。「1000ppmと1500ppmのフッ素配合歯磨き剤の虫歯予防効果を比較すると、1500ppmは1000ppmと比較して、最高35%の虫歯の減少率となる。特に思春期の永久歯においてその効果は絶大である」このエビデンスに基づき、諸外国では1500ppmの販売がすでに25年前に起こっていたのです。

そして2017年3月にやっと日本でも1500ppmが販売開始されたのです。高い虫歯予防効果を確実に得るためには、使い方やその他、注意事項がたくさんあります。興味を持たれた方は、どうぞ歯科衛生士に声をかけてくださいね!!

諸外国と日本の差を出しましたが、その背景は単純ではありません。国の保険制度や、フッ素の全身応用など、、また機会がありましたらご紹介したいと思います。